フリーロケーション(Free Location)で在庫を管理することのメリットデメリットについてまとめました

ロケーションとは、倉庫内において「商品の保管場所」を指します。
言うまでもありませんが、これは物流業務の効率化にとって最も重要な部分です。

「出荷の際に、保管場所を探し回ってしまう」
「間違った商品をピッキングしてしまう」
「売り切れ商品の、空になった保管スペースがもったいない」

そんな悩みを抱えている場合は、ロケーション管理方法を見直してみるのも有効な手段でしょう。
ここでは、大きく2種類のロケーション管理方法を元に、様々な面でのメリット・デメリットについてお話しします。

フリーロケーション (Free Location)とは?

フリーロケーションとは、『商品ごとに保管場所を決めない』管理方法です。
つまり入庫の際に、空いている場所に自由に商品を保管していきます。
固定ロケーションから移行する企業も多く、今人気の管理方法です。

固定ロケーションとの違いは保管方法

倉庫内の在庫保管ルールには大きく分けて二つの管理方法が存在します。
それが『固定ロケーション 』と『フリーロケーション 』です。
まずこの二つの管理方法を比べてみましょう。

固定ロケーションとは、『1つの商品に対して固定の保管場所を決めておく』保管方法です。
例えば、「A-01はパソコン」「B-14はぬいぐるみ」といった具合です。
場所ごとに商品が決まっているため、シンプルで覚えやすい管理方法と言えるでしょう。
出庫(ピッキング)の際も、該当する場所に迷わず向かう事ができます。
しかし欠点もあります。
場所ごとに商品が決まっているため、『在庫切れ』となってモノが無くなっても、次の入荷まで空のまま場所をキープしなければなりません。
これは限られた倉庫スペースを有効に使いたい身からすれば、「もったいない」と感じてしまうでしょう。
また、決められた場所に置ききれない場合は、また新たに保管場所を確保しなければいけません。
当然、アイテムの入れ替えがあれば、その度に保管場所も決定・変更する必要があります。
シンプルでわかりやすい反面、「柔軟性に欠ける」管理方法と言えるでしょう。

一方フリーロケーションとは入庫の時に保管場所をその都度決め、流動的に保管場所を変えていく保管効率に特化した保管方法です。固定ロケーションより運用方法に工夫が必要ですが、今この保管方法が作業効率の面で注目されています。わかりやすい運用方法の固定ロケーションよりもなぜフリーロケーションが注目されているのでしょうか。
次の項目ではそんなフリーロケーション管理におけるメリットとデメリットを比較していきます。

フリーロケーション 管理のメリット

上記にもあるように、フリーロケーションという管理方法には運用方法の工夫が大切です。
その工夫の仕方を検討するためにもメリットとデメリットを知っておきましょう。

大手EC サイトでも実施しているフリーロケーションは、保管場所の無駄をなくす事ができる収納効率に特化した管理方法です。
中でも最大のメリットは、上記のような「固定ロケーションにおけるデメリット」がない事です。
空いているスペースにどんどん置いていけば良いため、「ムダなスペース」は生まれません。
アイテムの入れ替えがあっても、レイアウトを考え直す必要もないのです。

フリーロケーション 管理のデメリット

保管場所の無駄をなくす事を優先させた結果同じ種類の商品なのに別の棚に保管されているという現象が多々起こります。
当然ですが、好きなところに商品を置いていく以上、「商品と保管場所を紐づけるシステム」が必要になります。
フリーロケーションに置いてはこれを実現するために、バーコード管理が必須となります。

フリーロケーションに適している商品とは

フリーロケーションにも、商品によって向き不向きは存在します。
例えばサイズが大きく重量のあるような商品に関しては、
固定ロケーションとフリーロケーションにおいてさほど作業効率の面で差が出ません 。人の手でピッキングしやすいものが向いている為、サイズが小さく出荷量の少ない商品に向いています。ではそれは具体的にどんな商品なのでしょうか。

化学原料・化学原料は生産量の変動で在庫の増減が多い商品です。
化学原料は種類が豊富ですが、サイズが大きくないものがほとんどです。生産量の変動にも対応していかなければならないので、フリーロケーション のように保管場所を随時動かせる保管方法は適しています。
アパレル・商品変動が激しい商品
アパレルのようにシーズンによって商品の種類や出荷数が変動する場合もフリーロケーションによる保管方法が大活躍していると言えます。
医療品や食品など医療品や食品には賞味・消費期限があります。このような日付管理やロット管理が大切な商品も適しています。

当たり前ですが種類が豊富であったり、出荷数に変動が大きい商品ほどフリーロケーションとの相性が良いといえます。
特に最近はアパレル系ECサイトを所有している方の利用者数が増加しています。

フリーロケーション で物流改善に至った

フリーロケーション はインターネット通販などで大活躍しています。
インターネット通販で扱う商品は宅配便で輸送できるレベルの大きさ且、
注文は少量のケースが多いです。
また、入れ替え頻度が高く在庫量の変動が激しい商品や、ロット管理が必要な商品を取り扱う頻度も高いので、保管スペースの有効活用が作業効率化に大きく関わってきます。
このような条件の倉庫はフリーロケーション管理のメリットを感じやすく、ピッキング作業の質を落とさず作業効率化を実現できます。

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両者のハイブリット『ダブルトランザクション』

両者のハイブリット『ダブルトランザクション』
人気の高いフリーロケーションですが、導入している全ての業者が「完全なフリーロケーション」で運用しているわけではありません。
固定ロケーションとフリーロケーションを融合させた管理方法が「ダブルトランザクション」です。
頻繁に出庫を行う「ピッキングエリア」とそれ以外の「ストックエリア」に分け、ピッキングエリアは固定ロケーション、ストックエリアはフリーロケーションで管理します。
ピッキングエリアではシンプルがゆえの「迅速で効率的な出庫」を実現しつつ、ストックエリアでは「デッドスペース」をなくし、柔軟性も出せるという訳です。
またこの他にも、「柔軟な固定ロケーション」のような運用方法も存在します。
基本的には固定ロケーションに従って保管場所を確保しますが、置ききれなかった分は空いているスペースに置いていく方法です。
完全な固定ロケーション現場からでも移行がしやすく、ほどよくフリーロケーションの柔軟性を取り入れることができます。

まとめ

従来からの「固定ロケーション」、今人気の「フリーロケーション」と、それぞれの利点などを見てきましたが、近年では「ダブルトランザクション」のように2つを組み合わせた運用、さらにはその組み合わせの比率などによって、「ロケーション管理」は日々細分化してきています。
「今主流だから」「昔からずっとこの方法だから」と捉われず、各社に合った運用モデルを探し出すことが重要と言えるでしょう。

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