在庫の管理の最適化は企業が利益を上げる際に必要になります。今回は企業と顧客双方に利益のある在庫管理方式のVMIについてそのメリットや注意点、成功条件を紹介いたします。
VMIとは
VMIはVendor Managed Inventoryの略であり、ベンダーが在庫を管理することを指します。これだけではよく分からないと思いますので、具体的に説明していきます。
ここでいうベンダーは、商品を製造するための材料を供給する業者や、商品そのものを納品する業者を指します。通常、在庫の管理は商品を製造する業者や納品先の業者が行いますが、VMI ではこの在庫をベンダーが管理します。
ベンダーが納品先の代わりに在庫の補充を行うためには、適切なルールを取り決めておく必要があります。ベンダーがルールに従い、納品先の売れ行きや実績を踏まえて、適正な在庫を維持します。
VMI倉庫の設置
VMI 倉庫はVMIによって必要となる、部品や商品の在庫をおいておくための倉庫です。納品先側はJIT納品のために組み立て・生産ライン(工場)の近くにVMI倉庫の設置を求めることが多いです。JIT納品とは必要なものを必要な時に納品する仕組みのことです。
VMI方式のメリット
生産効率の向上
VMI により正確でリアルタイムな納品先の在庫状況に応じて納品できるため、生産数の調整や販売予測の設定が容易になります。その結果生産効率が上がり、無駄を省くことができます。
過度の在庫を抱えることがない
納品先の業者は必要なときに必要な分だけ発注するため、在庫を抱えるというリスクを低減できます。しかも納品先の業者は在庫を管理する必要がなく、人的資源と時間のリソースを他に割くことができます。
モーダルシフトとの相性が良い
VMI倉庫は、トラック輸送から鉄道や船舶による輸送に切り替えるモーダルシフトとの相性が良いです。モーダルシフトの問題点として発注から納品にかかる時間が長くなるという点が挙げられますが、納品先の近くにあるVMI倉庫によって大幅に短縮することができます。
VMIの注意点
上記で述べたようなメリットがありますが、導入にあたって注意したい点もいくつかあります。
初期投資の必要性
VMIの導入時にVMI倉庫の設置を行う必要があり、ITシステムを整備することも求められます。在庫管理のために納品先とリアルタイムな情報共有が必要であり、そのためのシステムと通信ツールの構築にもコストがかかります。
明確なルールの作成
ベンダーと納品先が契約する際に、取引条件を明確化する必要があります。取引開始後に在庫が余ってしまった場合の補償問題などに関して詳細に取り決めておき、トラブルを避けましょう。
運用に関するノウハウが必要
ベンダーは納品先から提供された情報に基づいて、在庫の確保や生産を行います。販売量の見込みやデータ管理には専門的な知識や経験が必要であり、運用に関するノウハウが求められます。これらに関して未熟であると、在庫の過不足や業務過多につながり、コストばかり
が目立つようになります。
VMIの成功条件
VMIの失敗は大きな損失につながります。そこで、VMIを成功させるために必要と思われる条件を以下に述べていきます。
ベンダーと納品先の密な連携
ベンダーと納品先は常に連携し、互いの情報をリアルタイムに共有する必要があります。例えば、何らかの問題が起きて需要の伸びが止まった際に、すぐに情報が共有されなければ、ベンダー側が在庫の山を抱えることになります。基本的に、ベンダー側が損をする場合が多いため、ベンダー業者は納品先の業者と信頼関係を築く必要があります。
ベンダー側のフレキシブルな生産計画
最近のVMI では、納品先の業者はもはや発注をせず、ベンダー側に委託しているパターンが主流になっています。納品先の業者は最新の生産計画を常にウェブ上で公開し、それを参考にして、ベンダーは在庫の管理をします。これにより、ベンダー側には様々な選択肢が提供され、選択に合わせた柔軟な生産計画を立てる必要があります。
VMI倉庫の確保
VMI倉庫の確保はVMI を実現するためには必要不可欠な要素です。VMIを導入する取引先が増えると、その分だけベンダーはVMI 倉庫を確保する必要になり、莫大なコストがかかります。
そこで多くの物流会社は複数のベンダーが共通して利用できるVMI倉庫を提供しており、ベンダーと調達・購買サイドの橋渡し的な役割を持っています。物流会社にVMI 倉庫の運営をアウトソーシングすることで、VMIに関するコストを低く抑えることも可能です。
引取責任の明確化
在庫が余ってしまった場合に買い手側(納品先)もリスクを負うような契約を結ぶことが大切です。例えば1週間~2週間分の在庫を指定して、その分は確定で買い取るというような条件を設けることによって買い手側にもリスクを背負ってもらいます。
どのような割合で責任を負い、リスクをシェアするのかということについて、話し合うためには互いの信頼関係が不可欠になります。
VMIの導入事例
ソニーEMCS
ソニーEMCSはVMIを取り入れた独自の在庫管理手法を1985年から導入しています。全ての汎用品にこの管理手法を適用することで、倉庫スペースを削減することに成功しました。
また、納入業務を集約するために東日本と西日本にそれぞれ調達センターを設置しました。これにより、各事業所で合算するよりも倉庫の運営コストを削減することができました。
ウォールマート
小売業界のパイオニアであるウォールマート社はP&G社との受発注の仕組みとしてVMIを導入した結果、売上を大きく伸ばすことに成功しました。ウォールマート社における自社商品の需要を製造メーカーは把握し、予測に基づいて納品します。在庫管理や配送を仕入れ先にアウトソーシングしており、現在のVMI の主流の形となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はVMI について、メリットや注意点を紹介しました。VMIを導入することによって、売れ残りを防いだり、ベンダー側と納品先側の両方に利益を還元することは可能です。ただし、VMIを成功させるためには互いの企業の信頼関係と知識が必要不可欠です。
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